【第1学年】須山聡さんの講演会「伊平屋の海がきれいなのはなぜか?」

2月27日(土)に、駒澤大学教授の須山聡さんの講演会をオンラインで開催しました。大学で「島の先生」といわれている須山さんは、人文地理学がご専門で、奄美大島で20年にわたり地域調査をされています。今回の講演会では、島の定義・島の成因など島の基礎知識から始め、島の経済的側面、特に地域振興に焦点を当ててお話しいただきました。

この講演会は、12/8(火)に行われた講演会で多く寄せられた「伊平屋島の海はとてもきれいだった」という生徒の感想を出発点につくられています。なぜ伊平屋島には今も手つかずの自然が残っているのか。「原風景」を観光の謳い文句にしているのはどうしてか。その答えは、高度経済成長期から現在に至るまで続く、中央重視の開発投資の在り方に見出すことができます。高度経済成長期、仕事を求めて島からは人口が大量に流出しました。地域経済は自律性を失い、中央との格差は大きく広がっていきます。格差是正のために各種「振興法」が適用されたものの、それは島で生活する人々の生活に根づいたものではなく、島の人々の生活の活性化にはつながりませんでした。その状態は今も続いています。

今後、日本の地域振興をどのように進めていくべきか。「地域振興に一般解はなく、島ごとに答えがある」と須山さんはおっしゃいます。島に住んでいる人々や、外から島を見た人が、それぞれに感じる魅力を生かした産業を創出していくことが、自律した地域経済につながるはずです。

11月の伊平屋島修学旅行では、様々な視点から島を見て、たくさんの魅力を発見してくれることを願っています。

須山聡さん

教室の様子