桐陰会会歌

春湯陵の花の陰 はるとうりょうのはなのかげ

秋茗渓の月の あきめいけいのつきのもと

飛び交ふ胡蝶は風に舞ひ とびこうこちょうはかぜにまい

下行く水は楽奏づ したゆくみずはがくかなづ

慈愛平和に充ち満てる じあいへいわにみちみてる

自然の寵児我なるぞ しぜんのちょうじわれなるぞ



四海干戈の音止みて しかいかんかのおとやみて

文化の光見え初めし
 ぶんかのひかりみえそめし

元和偃武の古を
 げんなえんぶのいにしえを

想ふ学びの窓の下
 おもうまなびのまどのもと

昌平黌の跡訪へば 
しょうへいこうのあととえば

今も梢に仰ぐべし
 いまもこずえにあおぐべし



歴史の因み地理の縁 れきしのちなみちりのえん

この学園ぞ浅からぬ
 このがくえんぞあさからぬ

力山抜く英雄も
 ちからやまぬくえいゆうも

気は世を蓋ふ豪傑も
 きはよをおおうごうけつも

心の根ざし誰とてか 
こころのねざしたれとてか

幼時の教へによらざらん
 ようじのおしえによらざらん



鳳雛未だ羽生えず ほうすういまだはねはえず

梧桐の上に霊気蔽ふ
 ごとうのうえにれいきおおう

稚龍今なほ雲を得で 
ちりゅういまなおくもをえで

茗渓のほとり紫雲立つ
 めいけいのほとりしうんたつ

図南の翼うち張りて 
となんのつばさうちはりて

いづれの日にか昇るべき
 いずれのひにかのぼるべき

  


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